イベントの進め方

1.まずは企画をカタチにする

イベントや講座を開催したくなったら

メンバーと目的を共有し、自分達がしていくことが見えてきたら、その目的を達成するためのイベントや講座を具体化させていく必要があります。

まだイメージの段階でしょうから、これからそれを紙面に整理しながらメンバーで確認していくことが特に重要です。

この紙面への整理というのは次のような効果がありますので、面倒でもしていく方がいいでしょう。

紙面整理の効能
  • メンバー間で、目的や具体的内容が共通認識できる。
  • その事業を実施するための準備が具体的に認識できる。
  • そのものが要項や企画書となり、協力を求める資料となる。
  • 参加者募集の広報資料にもなる。

では、具体的にどのように進めていくのがよいのでしょうか。確かに決まった方法はないので困ってしまいますよね。ですので、ほんの一例を紹介しましょう。

柱づくりをしよう

まずは、そのイベントや講座を行うにあたって絶対ずれてはいけない柱を決める必要があります。これは、いつの間にかその講座やイベントを主催することが目的にすり替わっていることがよく起こるからです。

こうなると、主催者には、そのイベントや講座が終わっても「無事終わった」や「人がいっぱい集まってよかった」だの、イベントや講座そのものの感想しか出ず、次に生かすための課題整理へとはなかなか発展しません。

自己満足するために行うのではないことをよく理解し、実施後に振り返りが行いやすいよう、あらかじめ柱をきちんと決めておきましょう。

1) 目的の整理

自分達が、そのイベントや講座をしようと思ったその想いを整理します。具体的には「~するため」というように、箇条書きにでも列挙するといいでしょう。ここで注意したいことは、抽象的な言葉は避けることです。例えば、「~の社会に変えていくため」の一歩であって「~の社会になると思われるから」では、その意欲と説得力が半減してしまいます。メンバーが共通認識していくためのものですから、具体的に整理しましょう。

2) 現状の把握

その目的を達成するために、既にあるイベントや講座などの既存のものを列挙し、長所と短所を整理してみましょう。長所は取り入れるべき点であり、短所は改善すべき点として参考になりますし、既存のものがなければ、ないから自分たちが行うという目的にもなります。また、併せて社会的な背景(現状)も箇条書きで整理しておくとよいでしょう。

3) 到達目標の設定

先に説明しましたが、イベントや講座を行うことを目的にしないためにも、具体的に設定しておく方がいいでしょう。特に、参加者に「何を持ち帰ってもらいたいか」を明確にしたり、それをすることによって、何が達成され、どのような効果があるのかなどを具体的に整理する方がいいでしょう。

プログラムづくり

柱づくりができたら、いよいよ具体的なプログラムづくりとなります。特に、プログラムの内容を検討する際には、”到達目標”を振り返りながら、その目標が達成できるかどうかを考えていく必要があります。講座形式では、様々な手法が考えられますので、どの手法が目標達成に効果的かをよく吟味していきましょう。

1) 対象の設定

そのプログラムに参加してもらいたい対象を設定します。

この時に「できるだけ多くの人」と欲張らずに、“到達目標”を振り返りながら、そのためにどんな方に参加してほしいのかを列挙していきます。

さぽちゃん

ここで対象を「啓発目的だからできるだけ多くの人」とすると、プログラムの焦点がぼやけてしまい、逆にマイナスになることが多くあるよ。注意してね。

2) 規模の設定

ここで、そのイベントあるいは講座の人数設定を検討します。大きく行うとそれだけ準備の人、お金が必要ですので、どの程度で実施するのが自分たちの力量に合っているのかを見定める必要があります。

らんちゃん
最初から大きく行うんじゃなくて、少人数から始めてその都度課題を整理・修正しながら行っていくのがベターよ。

3) 内容の設定

いよいよ到達目標に達成するように、内容を作っていくことになります。
このとき、スケジュールにそれぞれの内容を記入していくと具体的にイメージがついていいかもしれません。
内容が固まったら、もう一度到達目標を振り返り、効果的かどうか、あるいは時間的に無理がないか、欲張って詰め込みすぎていないかをチェックしてみましょう。

さぽちゃん

できるだけ、ゆったりとしたスケジュールで組んだ方がいいよ。

4) 予算の検討

内容が決まれば講師の謝金や準備物などのイメージがつきやすくなるかと思います。できるだけ具体的になるように、「材料費500円×10人」という形で計算してみましょう。
総額が出たら、そのお金をどうやって捻出するかを考えます。参加費収入や会費、販売収益、助成金など、無理のない収入計算ができるかどうかを検討し、場合によっては内容を見直しましょう。

いよいよ企画書づくり!!

これまでのステップで企画はほぼ出来上がりました。団体の内部や事業を進めるにあたっての協力者にもわかりやすいように企画書としてまとめましょう。
助成金などを利用する時にはフォーマットが決まっている場合もありますが、そうでなければ以下の情報が入っているといいでしょう。

企画書に必要な情報
  1. 団体の紹介:団体の目的や使命、これまでの実績などをわかりやすく整理。
  2. 事業目的:事業を行おうと思った背景も含めて整理。
  3.  開催内容:日時、場所、参加対象、定員、内容、参加費、参加申し込みなど。
  4.  予算:寄付などの協力をする場合は必要。
  5.  成果目標:対象者を絞り、この事業の成果目標を項目で整理(参加者アンケートなどに反映)。
  6.  問い合わせ先:内容についての問い合わせ先や担当者名。

2.チラシ・ポスターのレイアウト

チラシ・ポスター、わたしたちの生活ではいたるところで見かけるのではないでしょうか。目に留まるようなインパクトあるチラシ・ポスターを作るためのレイアウト作成のポイントをおさえてみましょう。

目的をはっきりさせること

  • デザインばかり重視しない=伝えたいことをわかりやすくが大切!
  • 誰に何をどのように 

⇒ターゲットを具体的に絞り込み、相手を知る。

  • 具体的な効果、目標を決める

⇒チラシ・ポスターは何のためにつくったのか、その効果の検証をくせづける。

目に留めてもらえるものにしよう

いくら内容の素晴らしいチラシやポスターだとしても、人の目に留まらなくては意味がありません。

紙の色、特徴的なデザイン、キャッチコピーなど、興味をひくようなひと工夫が必要です。

そこで参考にしたいのが一般的なマーケティングの手法です。ここでは、1920年代にアメリカ合衆国の販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールがその著書で示したAIDMA理論に沿って説明します。

AIDMA理論とは・・・消費者が商品の認知から購買に至るまでの心理的プロセスをモデル化したもの。

AIDMA(アイドマ)理論で行動の意思決定に至る心理を理解する

A:Attention(注意)=存在を知る

I:Interest(興味・関心)=興味がわく

D:Desire(欲求)=みてみたい、やってみたい

M:Memory(記憶)=そういえばあんなのがあったな

A:Action(行動)=参加する

目に留めてもらうためのポイント
  • インパクトが大事・・・おや?何だろう?と思わせる
  •  常識を裏切る・・・パターンは認識されにくい
  •  見る人の立場になる・・・すっきりわかりやすくを心がける。ごちゃごちゃはNG!
  •  貼る場所を考える・・・大きければいいというわけでもない
  •  色・素材もメッセージの一部分
  •  共感させるストーリーをつくる・・・対象とする人に手紙を書くような気持ちでドラマ性、臨場感を盛り込む
  • イメージの力の活用・・・イメージ写真・イラスト・コピーでイメージさせる

レイアウトのコツを知ろう!

ただ長い文章をつらつらと載せているだけでは、読む方も読まなくなります。日時やイベントなどをきわだたせたり、イラストなどを使ったりするほうが効果的です。

目立たせる

写真を大きく、少し斜めに、バックを目立たせる、文字の工夫をする。

自分たちを知ってもらう(安心感)

どんなメンバー?何人?これまでの経緯を知ってもらおう。

メリットをはっきり

あれもこれもではなく、1つに絞り込む!

第三者の声を取り入れよう

イメージを促し、安心感へとつなぐ

言葉の力を使おう

一度聞いたら忘れない、耳に残りやすいキャッチコピーをつけるのも。

○熱い思いや思い入れをストレートに表現する(人間力を強く訴える)
○気持ちをストレートに伝える

さぽちゃん
チラシ・ポスターも結局はメッセージを伝えるためのもの。
だから…「言葉を使った、コミュニケーション」が大事!どれだけ自分の気持ちを「自分の言葉で伝えることができるか」 どれだけ豊かな言葉で「気持ちの良い世界を作りだすことができる」かが大事だよ。

3.プレスリリース(報道資料)の作り方

イベントや講座開催の広報は、各新聞社へ個別に取材依頼を行うのも良いですが、報道資料を作成し、市役所にある記者クラブに資料提供をするとマスコミに一度にアプローチできます。記者が必ず取り上げてくれるとは限りませんが、何かあるごとに資料提供をしておきましょう。

また、実際に新聞記事などで取り上げられた場合、切り抜きファイル化しておき、今後の団体のPRに活用することも忘れずに!

具体的に何を書くのかというと、A4サイズの用紙に投げ込む日時、件名、開催日時、場所、内容、主催者、問合せ先を明記した資料を作成します。チラシ等があれば添付してください。

特に内容の欄には、何を取材してほしいのか、セールスポイントを明確に記入しておきましょう。

また、自分たちが何を思い、団体を立ち上げて活動しているのかを資料の中に書き加えたり、それがわかるパンフレットを添付することもおすすめします。

記者からの問い合わせに応えられるように、マスコミ担当者を決めてもいいかもしれません。

資料を作成したら同じものを28セット用意し、山口市広報広聴課へ。広報広聴課には各報道機関のBOXが28用意されています(平成29年4月現在)。それぞれに資料を投函しましょう。

記者クラブへの資料提供はこちら

山口市広報広聴課  〒753-8650  山口市亀山町2番1号 山口総合支所2階

Tel:083-934-2753(広報担当)/Fax:083-934-2643

(プレリリース例)

A4用紙左上に「報道関係者各位」もしくは「プレスリリース」と明記。段を変えて右端に投げ込みの日付。改行して同じく右端に発信者。行を変えて中央に大きめのフォントでイベントの結論を簡潔に30字程度で説明するタイトル。その下に20文字程度のサブタイトル。2行ほどあけて5W1H(誰が、いつ、何を、どこで、なぜ、どのように)のイベントの説明が320から400字程度。2行あけて問い合わせ先。発信者名、担当者、住所、電話、FAX、メールアドレス、ホームページ。一行あけ、発信者の概要。

4.リスクに備える

イベント保険

イベントを開催する時は、万が一に備えて保険に入りましょう。

保険をかけるとき、まず誰が(加入申込者)、誰のために(被保険者)、どのくらいの期間(補償期間)、どのような事故等を想定しているのか考えましょう。

例えば、今あなたのグループが、所属メンバーのために、年間を通して、メンバーの移動中や活動中の事故による傷害補償のため、あるいは活動中に他人に怪我をさせたり、物を破損したりして損害賠償責任を負った時のために保険に加入したいと考えたとします。

該当する主な保険として、以下のものがあります。

スポーツ安全保険

4名以上のアマチュアの団体が加入できる保険です。加入した各団体の構成員が被保険者となることができます。

特徴
  • 活動⇒スポーツ活動、文化活動、レクリエーション活動、ボランティア活動、地域活動など
  • 補償⇒活動中、往復中の傷害保険、賠償責任保険、突然死葬祭費用保険
問い合わせ先

公益財団法人スポーツ安全協会山口県支部:(公財)山口県体育協会内

Tel:083‐921‐6185

※山口県支部(山口県庁内にあります)、各地域交流センターで申し込み用紙を入手できます。

ボランティア活動保険

社会福祉協議会に登録または委嘱されたボランティア個人またはボランティアグループ、NPO法人またはその所属の無償のボランティアが対象の保険です。ボランティア個人、その監督義務者、NPO法人がその被保険者となることができます。

特徴
  • 活動⇒日本国内における自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する無償のボランティア活動
  • 補償⇒活動中、往復中の傷害保険、賠償責任保険
問い合わせ先

社会福祉法人山口市社会福祉協議会

Tel:083-934-3538

※「加入申込書」は山口市社会福祉協議会にあります。

NPO活動総合保険

NPO法に基づく団体もしくは、NPO法の趣旨に合致する任意団体が対象の保険です。団体の理事・役員、会員が被保険者となることができます。

特徴
  • オプションメニューが豊富で、必要に応じ各種の補償を自由に選択できます。
  • 補償⇒活動中、移動中の傷害保険、賠償責任保険等
問い合わせ先

あいおいニッセイ同和損害保険(株)山口支店 山口中央支社

Tel:083‐974‐1611

詳しいことは、直接お問い合わせいただくか、またはさぽらんてにあるパンフレットをご参照ください。

山口市社会貢献活動保険制度を活用しよう

山口市では、山口市で活動をしている市民活動団体の皆さんが安心して活動に参加できるように山口市社貢献活動保険制度が2008年度から創設されました。保険料は全額市が負担します。事前の加入手続きは必要ありません。

活動事例
対象となるもの・市内に活動の拠点を置く5人以上の市民により組織された団体による活動(会員名簿を備えていること)

・本来の職場を離れ、自主的・自発的に行われる公益性のある活動(規約等を備えていること)
・年間を通じて行われる計画的な活動
(年間計画を立てていること)
・無報酬で参加する活動(交通費等実費程度は無報酬とみなします)
・地域の活性化や情報発信に関する活動での事故(団体の総会・役員会、市報の配布など)
・地域の環境に関する活動での事故
(ごみ減量・リサイクル活動、道路・河川清掃活動など)
・地域の安心・安全に関する活動での事故
(防犯パトロール、防火・防災訓練、交通安全活動など)
・子どもの健全育成に関する活動での事故(非行防止パトロール、子育て支援活動など)
・地域の福祉に関する活動での事故(高齢者支援活動、障がい者支援活動など)
対象とならないもの・学校の管理のもとに行われる活動
・自助的な活動や趣味を目的とするサークル活動等個人のための活動
・政治、宗教または営利を目的とする活動
・公民館総合補償制度の対象となる活動
※お祭りやどんど焼きのように宗教(神社)との関わりのある行事でも、地域の皆さんの交流を目的とした伝統行事で、市民の主催により毎年定例的に行われているものはここでいう宗教から除きます。
・自然災害によるもの
・故意によるもの
・脳疾患、疾病、心神喪失、疲労骨折によるもの
・重大な過失、法令違反によるもの
・他覚症状のないむち打ち症や腰痛
・山岳登はん、ハングライダー等危険度の高いスポーツによるもの
・救助活動など危険を伴う活動によるもの
・熱中症、食中毒
※上記のほか、この保険の約款や特約事項で対象とならない場合がありますので、担当者までお尋ねください。

1) 補償内容

傷害事故の補償

市民活動中に発生した不慮の事故により、指導者や活動に参加した方が死亡または負傷した場合

区分傷害の内容保険金額
死亡事故日から180日以内に死亡した場合1人500万円
後遺障がい事故日から180日以内に後遺障害が生じたとき障がいの程度により
1人15万~500万円
入院・通院入院または通院により医師による治療を受けたとき
※入院は事故日から180日、通院は事故日から180日以内で90日が限度
1人1日につき
入院 3,000円
通院 2,000円

※ 病院で診察を受けた場合が対象となりますので、領収書は大切に保管しておいてください。

賠償責任事故の補償

指導者の過失により、他人の身体や財産に損害を与え、被害者から損害賠償を求められ、法律上の責任を負った場合

区分賠償の内容保険金限度額
対人他人の身体への損害1人につき6,000万円 1事故につき3億まで
対物他人の財物への損害1事故につき500万円まで
保管物他人からの保管物への損害1事故につき300万円まで


※免責額(自己負担分)は、1事故につき5,000円

※賠償責任事故が発生した場合は、現場の状況や破損状況が分かるように写真を撮影(デジタルカメラでも可)しておいてください。

2) 事故が起きたときは…

どんなに気を付けていても、予測不可能なことは起こるものです。落ち着いて、下記の手順にしたがって保険の手続きを行いましょう。

1.すみやかに連絡

団体の責任者またはそれに準じる方は、速やかに協働推進課に報告を行ってください。

2.詳細を報告

連絡を受けたときに、どのような事故か、どのような活動を行っていたかなど必要事項をお尋ねします。

3.報告書の提出

連絡された方に「事故報告書」を送付しますので、作成した後に提出してください。また、その際に事故が発生した活動が分かる資料も必要です。
(チラシやパンフレットなど)を提出していただく場合があります。

らんちゃん
「事故報告書」は事故発生日を含め、おおむね20日以内に提出をしましょう!

詳細は、山口市協働推進課へお問い合わせください。

3) イベントを行う前に!

この制度は、市民の皆さんが安心して地域コミュニティ活動を行っていただけるように、万一の事故に備えて設けたものですが、一番大切なことは事故を未然に防ぐことです。次のポイントに配意して楽しく有意義なコミュニティ活動を進めてください。□の中をチェックしていきましょう。

イベントを行う前のチェック項目
  •  責任者は決めてありますか?
  •  事故防止についての注意を全員に徹底しましたか?
  •  プログラムに無理はありませんか?
  •  活動場所やコースの安全確認はしましたか?
  •  使用する道具などの点検はできていますか?
  •  監督者、指導者の数は十分ですか?
  •  役割の分担はできていますか?
  •  緊急時の体制はとられていますか?指示はしてありますか?
  •  参加者の健康状態は大丈夫ですか?
  •  活動にあった服装はできていますか?
  •  参加者名簿と参加者のチェックはしましたか?