資金調達―そんな言葉を耳にしたことはありますか?助成金や補助金も資金調達の一手段です。
たとえボランティアの手を借り、手弁当で集まろうと、必要最低限の経費はかかります。
その費用を確保することを資金調達といいます。
1. 寄付金、助成金、補助金、それぞれの違い
助成金、補助金は継続的に出るものではないので短期的な事業に対する資金調達の一手段として検討するもの。基本的には事業収益と寄付金、団体の会費で運営していけるよう資金計画を立てることが、長期的な目で見れば健全な団体運営につながります。それでも、団体の目的を達成するためにどうしてもまとまったお金を使ってやりたい事業がある!そんな時は助成金や補助金の獲得にチャレンジしてみるといいでしょう。
寄付金
個人や企業から、主に募金、バザーを通じて受け取ります。用途が自由なところが最大のメリットです。しかし反面、大きな金額は集まりにくい傾向にあります。
助成金
財団などからもらえる返済義務のないお金です。しかし、利用できる市民団体に条件がある(活動開始して3年以上、NPO法人であること、など)うえ、用途に厳格な決まりがあり、会計処理が煩雑なところが難点です。
補助金
国、地方公共団体からもらえる返済義務のないお金(交付金も含む)で、一般的に市1/3、国1/3と割合負担しているケースがが多いです。メリットはまとまった金額が使えることですが、受け取れる団体数に限りがあるため、申請をしても審査を通過しないともらえません。また、監査が入ることがあるため適切な経理処理が必要です。
2.助成金・補助金を申請する前に確認したいこと
助成金も補助金も“公益性”が求められます。つまり「広く市民にとって、こんないいことがあるの!?」ということが必要です。申請書は、自分たちの活動をわかりやすく伝えるということですから、普段、仲間内でなんとなく自明のことと思っていた目標設定などを、改めて問い直す契機にもなり、たとえ不採択になったとしても決して無駄にはなりません。申請をする時は、下記のポイントを参考にしてみてください。
Point1:助成の目的との整合性を確認しよう!

助成財団の設立目的、助成の主旨は理解していますか?
「活動団体のやりたいと思うこと」と、「助成財団が助成を通して実現したいと思っていること」が合致することが採択の条件です。
助成金がなくなると活動の水準が維持できなくなることはないですか?
助成金は、日常の活動のレベルを上げるカンフル注射の役割だと考えましょう。少額でも恒常的な財源を確保し、組織作りの中・長期ビジョンを立てておくことが重要です。
Point2:書くより先にまず企画!

事業のゴールは明確ですか?
しっかりと団体内で煮詰めて企画にしていくことが大切!
そのゴールに達するためのスケジュールとともに費用が計算されていますか?
スケジュールがあいまいだと事業の現実味がなくなります。
積算は、人件費は単価×人数×時間、旅費は往復運賃×人数のように総量が見渡せていることをアピールしましょう。
事業の成果が明確ですか?
この事業によって、どんな成果が誰にもたらされるのか、アピールしてこそ、他人もその夢につき合わせることができるというものです。
社会全体への波及効果が盛り込んでありますか?
Point3:読み手(選考委員)のことを考えて
申請書は、読み手である選考委員を説得して、自分たちの夢に投資してもらおうというものです。誰が読んでもわかりやすく、行いたいことの核心がはっきりと伝わることが大切です。
- 読んだ人に事業のイメージがつかめると思いますか?
- なぜ今、何のために、誰を対象に、何をするのかが整理できていますか?
- わからない言葉(カタカナ用語や専門用語など)は、ないですか?
- 読みやすい字で、わかりやすく簡潔に書いてありますか?
- 機材購入がある場合は、その購入の必要性が明確になっていますか?
- 助成事業は年間事業の一部分の事業です!全体の事業の柱立てがきちんと整理されていますか?
- 事業計画との整合性、費目がきちんと整理されていますか?
Point4:オリジナリティを大切に!
オリジナリティ、独創性は多くの財団の選考基準の中で、特に高い評価項目です。
- 一般的な問題意識にスペースを割いていませんか?
- 活動の独創性はもちろん、活動目的などが自分たちの言葉で表現されていますか?
Point5:報告書は社会資源である
- 報告書の形式や分量などを確かめていますか?
- 領収書をきちんと管理し、助成金を使ったという証明ができるようにしていますか?
- 事業の終了時だけでなく、経過等もこまめに報告していますか?
- 助成財団にだけでなく、活動を広く知ってもらうためにHPやブログで報告していますか?
おまけ:プレゼンテーションがあったら…
- 事業の趣旨、目的をはっきりと伝えることができますか?
- 演技力より説得力です!
- 提出書類との整合性はありますか?
3.クラウドファンディングとは

最近脚光を浴びているのがクラウドファンディングという新しい寄付の形。クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、広く寄付を募るために、インターネットというツールを使っているのが特徴です。応募に制限や条件などはなく、私的なプロジェクトでも共感した不特定多数の人から寄付を募ることができ、寄付者はスマホからワンクリックで寄付できる手軽さも受け、若者を中心に浸透しています。
国内に存在するクラウドファンディングサイトは現在100を超えているとか。
プロジェクトの期限と目標金額を設け、期限内に目標金額を達成するとその金額から手数料(相場は集まった寄付総額の14~20%)を引いた額がプロジェクト発案者に渡されるという流れになっています。手数料が高いように思えるかもしれませんが、広告・宣伝費ととらえると決して損ではありません。
これまでどんなプロジェクトが成立しているかなどを参考に、そのクラウドファンディングサイトが良質なものか見極めることが大事です。
ちなみに、これまでさぽらんて登録団体のエントリー実績があるクラウドファンディングサイトの一例としては、Readyfor(日本で最初にできた最大のクラウドファンディングサービス)、FAAVO(地域の創生事業に特化したクラウドファンディングサービス)などがあります。詳細が知りたい団体はさぽらんてへご相談ください。
4.資金調達に活かすプレゼンテーション
助成金や補助金に応募する際、企画に対するプレゼンタイムを設けられていることがあります。
プレゼンテーションは、自分が言いたいことを一方的に伝えるものではなく相手との双方向のコミュニケーションによって完成するもの。そのため、相手のニーズを見極める必要があります。「なんか難しそうだなぁ・・」と思ったあなた!プレゼンテーションをするためのポイントをおさえてみましょう。
プレゼンテーションのポイント
- きちんと前をみる(資料を読んではダメ!)
- アイコンタクトを取る
- テンポ、間合い、語尾を切る
- 声の大きさ(自信の表われ)
企画をプレゼンするときの基本
1) 企画の6W3H
企画をプレゼンする場合、その企画そのものもよく考えましょう。
プレゼン資料をつくるうえで、現状を把握する手法として6W3Hというものがあります。
情報を伝える際に網羅しておきたい事項、Who(誰が)、Whom(誰に)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)、How many(どれくらいの量で)、How
much(いくらか)のそれぞれの頭文字を取って6W3Hと呼ばれます。
市民活動においても、6W3Hの活用を習慣化すれば、 企画の抜けや漏れ、重複を防げるとともに、多角的に物事を見る目が養われる手法ですのでぜひ活用してみてください。
動機の2W1H
- 「why?」 なぜ(必要性・社会的背景)⇒「なぜ」を深めること。
- 「whom?」 誰のために(対象)⇒対象を絞るほど、具体的に。
- 「how far?」 どこまで(状態目標)⇒目的と目標は違う。
手法の3W1H
- 「when?」 いつ(日時・期間・頻度)
- 「where?」 どこで(場所・地域)
- 「what?」 何を(事業内容)
- 「how?」 どのように(具体的な方法)
資源の1W1H
- 「who?」 誰が(担当・人材)⇒手持ちにいなければ調達する。
- 「how much?」 いくらで(収支予算)⇒「ある金」から発想しない。
プレゼンにおいて、6W3Hの質問に答えられない企画は、絶対に相手を説得できません。
企画の成功のカギは、「動機」「手法」「資源」のバランスです。
2) あがらないためには
あがらないためには、自信をつけるのが一番。
そのためには、次の方法が一番です。
- 身近な場(失敗しても致命傷にならない場)で失敗をしてみる。
- とにかく多くの‘痛い目’をみる。
プレゼン資料作成のポイント
「企画書」と「プレゼン資料」は全くの別物です。
「プレゼン資料」は、限られた時間で話をするため、ポイントを絞り込みましょう。
①タイトル
10文字以内が原則
②ボディコピー(キャッチコピー)
30文字以内まで
③その他
- これ以上簡潔にならないとき
- 自分がその企画の成功を信じているか
- 社会的か
- コンパクトになっているか など。