NPOの会計

1.会計

団体の活動を、お金の動きによって説明するために行われるのが会計です。お金の収支を記録することを簿記といい、収支を記録したものを帳簿といいます。簿記というと難しそう・・・と思われがちですが、子どもの頃一度はおこづかい帳をつけた経験があるのではないでしょうか。主婦の方なら家計簿をつけている方も多いと思います。それはすでに簿記への第一歩なのです。
事業規模の小さい任意団体なら手書きのおこづかい帳レベルの帳簿でも問題ないでしょう。しかし、あなたの団体がテーマとしている社会課題に真摯に向き合い、継続して取り組んでいくつもりなら、最初からきちんと会計処理をしておくことをおすすめします。

なお、パソコンで帳簿をつければ自動計算ができ、連動して他の提出書類も作成できる機能もあるので便利です。
法人化を検討する時や収益事業をはじめようとする時、また補助金や助成金を受けようとする時、適正な会計処理をしておかないと、のちのちそれが足をひっぱります。逆に言えば会計処理ができる団体は任意団体でも信頼され公共事業の受託者となり得るのです。実際そうして幅広い活動を行っている任意団体もあります。

2.会計処理の流れ

市民団体が最低限やっておきたい会計処理は次の2点です。

  • 帳簿をつける
  • 決算書作成

え?たったこれだけ?と思われる方もいるかもしれませんが任意団体では意外とやっていないところが多いようです。

それぞれの手順を解説していきます。

 

3.帳簿をつける

帳簿を作るメリット

1 ) 次年度の予算編成の参考に

どの事業にいくらかかったかが分かれば、翌年の予算編成がスムーズです。

2 ) 事業の問題点を正確に把握できる

例えば事業で赤字が出たとします。すると帳簿を見て光熱費がかかりすぎていた、会費が安すぎたなど分析し、早めの改善策を講じることができるのです。

3 ) 助成金や補助金申請時、NPO法人化する時の必要書類

助成金や補助金の申請時、また、法人化する時に過去の収支が必要になることも。

 

帳簿をつける上で気をつけるポイント

1) 年度ごとに処理をする

会則に定めた年度ごとに会計を区切るのが鉄則。
団体を立ち上げ、会則を作る時点で、団体の年度は決めておきましょう。
4月1日~3月31日で区切っているところが多いようです。

 

 2) お金の管理

お金を管理するにあたり、会計の原則というものがあります。最初のうちにこの原則を団体内で共有しておくと、トラブルを未然に防ぐことができます。

会計の原則

「正規の簿記の原則」(規則に則って正しく記録すること。)
「真実性・明瞭性の原則」(虚偽の記載をしない。また分かりやすくつけること。)
「継続性の原則」(最初に決めた費目や年度などについて帳簿のつけ方に従い、みだりにそれを変えないこと。)

 

3) 団体の物を買う時の注意点

  •  領収書は必ずもらいましょう!宛名を「上様」や個人名にしないこと。
  •  もらう領収書はなるべく明細付きで。後で見返した時に何のお金か分かると便利です。
  •  感熱ペーパーの領収書は暑いところにおいておくと消えてしまいます。早めに処理して冷暗所に保管しましょう。

 

帳簿と一緒に保管しておきたいもの

 

請求書、領収書、寄付金台帳(いつ、誰から、何を、どれだけもらったか)

重なり合う大量のレシートと領収書のイメージイラスト

らんちゃん
領収書、レシートを時系列でノートなどに貼ってまとめておくと、後で見返す時に便利よ

 

多桁式出納帳で帳簿を作る

小規模の市民活動団体さんには、多桁式出納帳をおすすめしています。多桁式出納帳は複式簿記の一種で、費目が増えた時に桁を増やすことでフレキシブルに対応できることと、Excelのソフトを使えば決算書まで作ることができるのが特徴です。

 

こんな団体に向いています

  • 規模の小さい任意団体
  • 年間の事業費が100万円以内
  • 事業が1,2個程度

 

まずは費目を決めよう

たとえば会議や総会時の茶菓子。ある団体では会議費として処理しているところもあれば、雑費で処理しているところもあります。
どちらが正しいでしょうか?実はどちらも正解なんです。大事なのは団体内で会計に関わる全ての人間が費目について共通認識をもって処理し、かつ、それを変えないことなのです。

 

(費目の参考例)

 勘定科目名  内訳
収入  会費収入  会費の収入
 寄付金収入  寄付金の収入
 雑収入  他の勘定科目のいずれにも含まれない、一時的で少額な   収入
支出  給与手当  職員に対する給与
 法定福利費  社会保険料(事業主負担分)
 福利厚生費  慶弔金・健康診断料等
 謝金  講師に対する謝礼金等を払う時
 会議費  会議のための会場費や設備使用料、お茶代等
 消耗品費  備品、日用品、事務用品等
 租税公課  印紙税、消費税など税金や公的な負担のもの
 水道光熱費  電気・ガス・水道代
 旅費交通費  電車・バス・ガソリン代等
 通信運搬費  電話代、ネット代、運賃、切手代等
 賃借料  リース料、不動産使用料
 修繕費  車両や備品、建物等の修理に関する支出
 諸会費  組合等の会費
 保険料  ボランティア保険料、損害保険料
 雑費  他の勘定科目のいずれにも含まれない、一時的で少額な費用

 

どうやって予算を立てる?

団体を立ち上げたばかりで、事業を始めようにも何をどう見積もって予算を組んだらいいのか分からない。そんな時は、類似した事業を行っている国内のNPO法人を探してみましょう。NPO法人は決算が公開されています。それをいくつか見比べるうちになんとなく予算のアウトラインが見えてくると思います。

 

4.決算の流れ

決算とは、事業年度における損益の状況を明らかにするものです。
NPO法人は総会時、社員に決算を諮り、定数を超える承認を得られて初めて決算が確定し、法務局へ事業報告書等を提出することになります。任意団体も将来的に法人化を視野に入れているなら活動計算書と同じ形式で「収支計算書」を作っておくといいでしょう。

 

Step1月ごとに収支を算出【毎月末】

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Step2年間収支を算出【毎年度末】(合計計算書=資料①)

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Step3項目別収支を算出【総会前】(収支計算書=資料②)

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資料①合計一覧表

1年度分の合計一覧表の一例。縦軸は4月から順に3月まで。横軸は左から会費、寄付金、雑収入、収入計、会議費、消耗品費、租税公課、水道光熱費、旅費交通費、通信運搬費、賃借料、保険料、諸会費、雑費、支出計とある。

 

 

資料②収支計算書