5/25 第1回さぽカフェレポート

5月25日(金)、『ひきこもりから社会とのリコネクション(再接続)を考える』をテーマに第1回さぽカフェを開催しました。

参加者は、山口市で外出トレーニングや就労体験などさまざまなひきこもり支援を行っている認定NPO法人支えてねットワークをはじめ、パーソナル・サポートセンターやまぐち、ほうふ若者サポートステーション、KAKERUTASU、NPO法人ドリーム・ファクトリー、元ひきこもり当事者の方やひきこもり経験者のご家族、山口市協働推進課、障がい福祉課、地域福祉課、さぽらんてスタッフを含め総勢14人。

 
 
 
 
 
 
 
 

ここでひきこもりについて少し解説します。
厚生労働省の定義では、ひきこもりとは『さまざまな要因の結果、就学・就労・家庭外での交遊などの社会参加をせず、6か月以上家庭に留まっている状態』とされています。
H29年度に支えてねットワークが独自で試算したところによると、山口市内だけで15~64歳のひきこもりは約1800人。私の身近なところでもひきこもりの知人や親戚が多くいます。それを思うと実際はもっと多いかもしれません。
ひきこもりになるきっかけは実にさまざまです。学校や職場でのいじめ、進学や就職、恋愛、結婚での挫折など・・・。そのため個々の家庭の問題とされ、長らく積極的な対策がとられてきませんでした。
しかし、近年ひきこもりの長期化により8050問題(親が80代、子が50代と高齢化する中、病気や介護などをきっかけに収入が途絶えて一家が孤立、困窮してしまうこと)など新たな問題が起こりはじめてようやく社会全体の問題として認知され、行政も支援に本腰をいれるようになりました。
今後家族に何かあった時、ひきこもり当事者が自分の足で立って生きられるよう社会に受け皿や支援体制の整備を本気で考えていこうというのが今回のさぽカフェの目的です。
 
まずは、支えてねットワークの上村理事長がひきこもり支援をするなかで課題に感じていることをあげてもらいました。

  1. 発達障害や統合失調症など精神的な疾患を持った人も多く、対人関係のつまづきなどから、制度内での就労支援プログラムでは対応が難しい人が多い。障害そのものというよりも、二次障がいにより支援が長期化する。
  2. 社会の中でひきこもりへの偏見は根強く、本人や家族が事実を隠すなど、支援につながりにくい。
  3. 本人が無理なく働ける範囲と、一般的な雇用形態や障がい者雇用の条件に適合する働き方との間にギャップがあり、多様な働き方を考える必要がある。

 

支えてねットワークの上村理事長。気さくでキュートな女性です。
支えてねットワークの上村理事長。気さくでキュートな女性です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次に元ひきこもり当事者や子どものひきこもり経験を持つ保護者による体験談。
『とんちんかんな質問や相談でもとにかく聞いてくれ、信頼関係が築ける場所が必要』『家の外に安心安全な居場所がないから出たくないと言っていた』
安心安全な場所とは、ありのままでいることが許容される場所。彼らの支援に特化した拠点だけでなく、その人の住まう地域全体が特性や障がいを自然に受け入れてくれる居場所になっていくと、誰もが住みやすい社会になっていくのかもしれないと感じました。
 
また、就労支援という形でひきこもりに関わる現場の方々からは『本人が働く意欲をもてるようになるまでのサポートこそ必要なのにそこが抜け落ちている』、『精神障害が疑われるなど医療機関へつなげれば支援の道が開けそうな案件でも、家族が診断を受けること自体を拒否し支援までもっていけない』などの課題があげられました。
 
行政の担当者からは、『ひきこもりの家族や当事者から電話があるとよくぞ電話してくれましたと思う。つながり続けることが大事。』といったお話が伺えました。
 
これまでの話を踏まえて、後半は何ができるかについて考えるワークショップ。
アイデアをまとめたシートです
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いくつか挙げられたアイデアの中で、実効性のありそうな“興味関心の棚卸をするお手伝い”というKAKERUTASUさんの提案をさっそく実現する運びに。
今年度のさぽカフェを通して、ひきこもりの人たちが社会とつながり続けられ、かつ適性を生かせる場や就業の機会をもてる仕組みを関係者の方たちと一緒に考えより具体的な形にしていけたらと思っています。

(さぽカフェ担当 川上)