地域コーディネーター養成セミナーPart1レポート

  秋晴れの9月23日(土)・24日(土)(株)PubliCo(パブリコ)さんから長浜洋二氏<代表取締役CEO>、秋元由梨氏<コンサルタント>、外崎恵子氏<アシスタントマネージャー>を講師に迎え、山口県の中核的人材育成業務である「地域コーディネーター養成セミナー」を開催しました。

当初50名の予定でしたが、74名もの参加申込みを頂き、山口市秋穂地域交流センターのメインホール、ロビー、会議室のあちらこちらでワークが繰り広げられる大規模なセミナーとなりました。

スライドをみている参加者の様子です
県内から27団体74名の参加
ロジックモデルのレジュメです
ロジックモデル策定の留意点1
長浜講師が参加者にアドバイスしている様子です
会場のあちらこちらでの策定作業
外崎講師と参加者です
講師もしっかり寄り添います
 ——————————–
㈱PubliCo &講師プロフィール
——————————–
「社会を変える組織」をつくる
社会を変えるために活動している「公益組織」が自分たちの足でしっかりと歩み、社会的成果をきちんと生み出し続けられるほんとうの「社会を変える組織」になるためにパブリコはともにあります。長浜洋二氏:米ピッツバーグ大学公共政策大学院卒。NTT、マツダ、富士通でマーケティング業務に携わる一方、米国のシンクタンクにて個人情報保護に関する法制度の調査・研究、ファンドレイジング、ロビイングなどの経験を持つ。
著書に『NPOのためにマーケティング講座』秋元由梨氏:カナダ・セントメアリーズ大学(女性学・国際開発学)卒。学生時代より女性の人権や国際協力のNGOボランティアとして活動する。その後、2005年より米系コミュニケーション専門会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパンに入社し、企業や公的機関の広報戦略、社会啓発、組織活性化などに携わる、並行して、「医療・福祉分野の多職種連携や学び場づくり」を支援する一般財団法人サードパスを設立し活動するほか、公益財団法人東京YWCAのDV被害者支援の「支援者エンパワエントプログラム」にボランティアとして参画。外崎恵子氏:青山学院大学国際政治経済学部卒。卒業後IT会社でSEとして6年半勤務の後、2014年6月「認定NPO法人かものはしプロジェクト」へ参画。2015年からは山元が代表を務めていた「NPOマネジメントラボ」のアシスタントも兼務。PubliCo設立当初からアシスタントを務め、2016年4月よりスタッフとして勤務。バックオフィス、セミナー事業、スクール事業を担当。
現在は、「NPO法人CRファクトリー」の事務局も担当している。その他、社会的養護に関心があり児童養護に関するボランティアに関わっている。————————–
地域コーディネーターとは?
————————–
今回「地域コーディネーター養成セミナー」と題して、しっかりとロジックモデルを策定する時間を設けて頂きました。
地域コーディネーターは、地域の未来を見据えて、地域の資源(人・もの・自然など)を生かし、新たなプレーヤーを増殖して、未来に向けての地域づくりが推進されるように協働をしかける人です。
地域づくりは、限られた組織や人だけで推進できるものではありません。小さなイベントでも、大きなプロジェクトでも全てが目指すビジョンを共有することで、それぞれの強みや役割が明確になり、つながりが見えます。
知らない間に、一つのビジョンを目指すチームになっていく。それを仕掛けていく人を養成したいと思っています。——————————
セミナープログラム
——————————
<23日(土)>
□参加者コミュニケーション(じゃんけんで名刺交換・役割分担で描く)
□ロジックモデル概要説明
□ビジョン・ミッションの確認
□ロジックモデル策定ワーク①
<24日(土)>
□1日目の振り返り
□6眼モデルを活用したコミュニケーション
□ロジックモデル策定ワーク②
□共有・発表
□振り返り
—————————–
2日間のセミナーの様子
—————————–
初日は、初めての参加者同士が知り合いになる、セミナーの雰囲気に慣れてもらうためのコミュニケーションゲームからです。
会場の中で初めて出合う人とじゃんけんをして勝てば、名刺がもらえます。会場いっぱいに笑顔の輪がひろがり今回のセミナーを予言するような盛り上がりとなりました。
続いてスクリーンに示された指示する人、描く人、観察する人と別れて絵を描きます。長浜さんのセミナーでは、いつも新たな「伝える」「聴く」力をつけるためのツールが用意されています。いよいよ本題、自分たちが解決したい課題解決の設計図ロジックモデルについての説明を受けました。簡単に要点をお伝えします。■ロジックモデル
ある施策がその目的を達成するに至るまでの論理的な因果関係を明示したもの。
個々の事業がミッションの達成、及びビジョンの実現に繋がることを整理・確認することが狙い。
■NPOや地域コミュニティの成果とは
単なる活動にとどまらず、はたらきかけた相手・対象の意識や行動、地域・社会の状態や状況の変革を起こすこと。

私たちは地域社会を変えていく主体であること、忘れてはならない大切なポイントです。

続いて、ロジックモデル策定の前提となるビジョン・ミッションを見直します。見直しポイントは以下のとおり。

■ビジョン:組織が目指す社会の状況や状態
□目指す状況・状態がイメージできる
□実現可能性を感じられる
□感性・感情に訴えている
□シンプルで覚えやすい
□ステークホルダーの共感が得られる
□ミッションを達成した時の状態と一致している

■ミッション:ビジョンの実現に向けた組織の社会的な役割
□ビジョン実現の理由や必要性が分かりやすい
□ビジョン実現の社会的な緊急性が説明されている
□ビジョン実現の手段や方法に納得感がある

ここも大切なポイントです。
ロジックモデルを策定する前にビジョン・ミッションを組織で共有しておくことは基礎の基礎、大前提です!

お昼を挟んでから、改めてロジックモデルの説明を受け、その後はひたすら策定作業となりました。

■策定のポイントは、目標から逆算して事業を考える!
□手順①ビジョン・ミッションを明確にする
□手順②長期・中期・短期の成果を考える
□手順③事業を考える

事業ありきで考えがちですが、ここに大きな落とし穴。
ビジョン達成に向けて、組織の社会的役割は何で、どうのような成果を目指してどんな事業が必要なのか。この思考プロセスが軸となります。

■インパクトマップの策定
例えば、めざす『地域コミュニティの活性化』『地域に愛着を持つ』その状態がどのようなものなのか要素をあげて、それぞれの成果を指標に落とし込める状態にしておくことも重要な作業です。

その他、ロジックモデル策定の留意点は右上のスライドを参考にしてください。

限られた時間ですが、3名の講師のアドバイスを頂きながら、ひたすらロジックモデル策定作業を進めました。最後にそれぞれの成果を共有する時間を持ち、アイディアを提供したり、ヒントをもらったり実りの多い2日間となりました。

■参加者の感想

今回の参加者の満足度の平均は89.7点!

ワークが多く集中力のいるセミナーでしたが、参加者アンケートの中では、講師からのアドバイスで「漠然とした課題が整理できた」「方向性が明確になった」「もやもやが言語化できた」という喜びの声が多数聞かれ、「課題解決に向けてひとつのストーリーになってないと実現不可能」「即活用できそう」「事業の検証をしていきたい」など確実な実践に結びついる方もおられました。

また、「参加者が多く、アドバイスが思うようにもらえなかった」というご意見も頂きました。今後は県内の支援センターや行政担当課がしっかりと伴走支援できる体制が整うように働きかけていきたいと思います。
※今回中間支援としては、県民活動支援センター、下関市民活動センター、防府市民活動支援センター、山口市市民活動支援センター、山口市協働推進課、平生町地域振興課、山口市社会福祉協議会、防府市社会福祉協議会、岩国市社会福祉協議会の方の参加がありました。今後のひろがりをご期待ください。

現状の社会課題は、複雑化・多様化し、小手先だけの解決方法では追いつかない状況だと感じています。
「地域コーディネーター」が地域や行政や支援センター、地域福祉などの中間支援やNPOや地域コミュニティなどの市民組織の中に居て、多様な主体との連携を促進し、相互の強みを活かした事業展開を進めることが地域課題の根本的な解決につながるのではないでしょうか。

地域を何とかしたいと思っている人たちはたくさんおられます。
その方たちが10年後の姿を描きながら、課題解決の設計図「ロジックモデル」を策定していくことができるようになると未来は希望的です。

これからもPubliCoさんとともに
あなたのほっとけないをカタチにしませんか?
————–
今後の予定
————–
11月25日(土)10-17 山口市秋穂地域交流センター
~協働に向けてのコレクティブインパクトを学ぶ~
AM:座学(先進事例・相互強化の取組み手法・継続的コミュニケーションのしくみなどを学んでいきます)
PM:ワーク
11月26日(日)13-16 山口市秋穂地域交流センター
~コレクティブインパクトを進めるための円卓会議~
コレクティブに事業を行うための機能のひとつである
多様な主体の円卓会議の開催し、その手法を学びます
(社会課題を根本解決するためのつながりづくり)

参加者の集合写真です
終了後の記念写真

 

<わたなべ>