NPOのためのPBL講座(第1回)

4団体14名が集まり、8月15日(火)第1回目のPBL講座を開催しました。今回の肝は、「哲学」をベースに新規事業開発のための発想力を鍛えること。

 

講師は山口大学教授で哲学者の小川仁志先生です。ゼロから新しい常識を生み出すためのチカラ・視点である哲学的思考で、ピカソのように、アインシュタインのように、発想と感性を刺激しながら理にかなった創造を生み出すための4つのワークを準備してくださいました。

 

■ワーク1:疑うための哲学フレームワーク

当たり前や常識を疑ってみるワークです。例えば、「自主性」について。これまでの常識では、「自ら主体的に動くこと」が自主性であり、「それがすばらしい」とされていたけれど、「人に言われて動くのはダメなのか」「わがままと思われることはないのか」「頭を使う、考えるだけだと動くとはいわないのか」「他主性ではなぜだめなのか」というように遺言一句を疑っていきます。このように各グループが「探究」「多文化共生」「子育て」といった、団体活動に関連するテーマを設定し、当たり前と思われていたことを疑いました。

 

■ワーク2:視点を変えるための哲学フレームワーク

人によって、物事の認識は異なります。例えば、富士山は、登山家にとっては登るものであり、出張のサラリーマンには車窓の景色であり、美術展を訪れた人にとってはアートであるといった具合ですね。自分や近しい人の視点だけでは、既存の枠を超えた発想を生み出すことはできません。このワークでのポイントは人間に限らず、ペットや物質、感情、抽象的な概念など、そして思いっきりありえない視点から対象をとらえ直すことで、今までにない視点を見出すことです。

 

■ワーク3:再構成するための哲学フレームワーク

疑い、新たな視点を加えて出てきた要素の好きなところだけを選んで、新たな定義を創り出すワークです。ワーク2で「withコロナの視点でみると、自主性とは実はめんどくさい」という側面もあったため、他の好きな要素と組み合わせて「自主性とは、面倒くさいけど、動くと面白くて自己肯定感のご褒美が得られる。つまり、面動性(めんどう(く)せい)である」と再定義されました。面倒くさいのに面白いのが自主性!なるほど~。面倒くさければ、面倒くさいほど自主性が育つ。否、面倒くささのないところに自主性は育たないとも言えそうです。聞く方もうんうんなるほどとなるような新定義が出ました!

 

■ワーク4:応用

次回2回目に発表する、新事業企画につながるようなアイデア出しを各グループで行いました。短い時間にいくつか事業案が出ていましたので、次回のプレゼンに期待♪

 

昨年、小川先生と出会ったことで、私自身の人生に初めて「哲学」というものが現れました。ソクラテスやプラトンの名前くらいは聞いたことがありましたが、哲学とはすれ違い続けて生きてきたので、大昔からあるのに「新しい!」と思いながら学んでいます。小川先生の言われる「一生使える強靭な思考力」が身につくよう、当たり前を疑っている今日この頃です。

<スタッフ小田>