NPOの花道~税務の基礎~

■日 時 10月13日(土)13:30~16:00
■参加者 8名

税理士法人行本会計事務所 社員税理士 大原修至さんをお招きして、NPO法人取得を検討している団体に向けて「税務の基礎」講座を開催しました。

講座の概略は・・・
税金は、公共の組織運営のコスト。国や地方公共団体の運営をまかなうもので、太古の時代からある。
■消費税
今年の8月10日に平成26年4月から8%、平成27年10月から10%に段階的に上がることが閣議決定されました。
これにより、免税点が下がり納税義務者が広がることが推測されます。
平成16年の大幅改正時に免税点が1000万に下がったときにも、納税義務者が人格なき社団(PTA・同窓会・任意団体)に広がり問題になりました。
○消費税5%のしくみ
消費税(国税)4%・・・①
地方消費税 ①の25%・・・②
①+②=5%
今後の増税で、地方消費税の割合が高くなる可能性もある。
■税金の種類
納める人と負担する人が同じ直接税と、納める人と負担する人が違う間接税
図1
法人税の納税義務者:「法人」とは、自然人以外で法律上権利能力を有するものとして会社法やその他の法律により人格を付与された団体をいいます。
なお公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を営む場合に限り、納税義務者とされます。またこの収益事業課税は、一般私企業との競合関係の調整や課税上の公平の維持等を考慮して行われています。

○法人の区分による、課税所得の範囲や税率の差異 図2
○NPO法人は、一般社団法人等及び公益法人等とみなされるものに該当

復興財源確保法により、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度については、各事業年度の所得の金額に対する法人税の額に10%の税率を乗じて計算した復興特別法人税を、法人税と同じ時期に申告・納付する必要があります。

○申告においては、国(法人税)県(事業税・県民税)市(法人市民税)セット
○青色申告をすると、欠損繰り越しや物品購入の特別償却が認められる
○地方税の法人事業税(県)は赤字の場合は課税されないが、申告義務はある。
○県民税の均等割り21,000円と市長村民税の50,000円は赤字でもかかる。
○NPO法人の場合、所得税の源泉徴収の調査の可能性はある。

■収益事業
収益事業とは、公益法人等や人格のない社団等が、法人税法で定める収益事業(「収益事業の種類」に掲げる34の事業で、その性質上その事業に付随して行われる行為を含みます。)で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます。(法2十三、令5丸1、基通15-1-4~5)
○収益事業の種類(34事業)
1 物品販売業    2 不動産販売業
3 金銭貸付業    4 物品貸付業
5 不動産貸付業   6 製造業
7 通信業      8 運送業
9 倉庫業      10 請負業
11 印刷業      12 出版業
13 写真業      14 席貸業
15 旅館業      16 料理店業その他の飲食業
17 周旋業      18 代理業
19 仲立業      20 問屋業
21 鉱業       22 土石採取業
23 浴場業      24 理容業
25 美容業      26 興行業
27 遊戯所業     28 遊覧所業
29 医療保健業    30 技芸の教授又は学力の教授もしくは公開模擬学力試験を行う事業
31 駐車場業     32 信用保証業
33 無体財産権の提供を行う事業
34 労働者派遣業

■会 計
○会計の目的
① 対外的信頼を得るため自社の内容を数字で見せる
② 自社の今後の事業計画のため
税務申告も大切ではあるが、そのためではない!
○NPO会計基準
一定の基準により処理することにより、協力者・応援者に公正に妥当な方法で評価してもらうため
○任意団体からNPO法人どうしようかと悩んでいる団体へ
社会的信用を得るためには法人格は必要。それにより、契約行為や継続、雇用、融資なども可能になる。
基本は、どうしていきたいのか?仲間の思い、事業の拡大展開の意志があるかどうか。
経費についてもシミュレーションし、どれだけ儲けなければいけないかを明確にすることが大切。

講師の税理士大原さんは、参加者が気になる質問、「○○は収益事業になるの?」に34の事業に当てはめて丁寧に示してくださり、また、会計の説明にも簡単な取引事例を挙げ、現金出納帳・損益計算書・貸借対照表の説明をう~んとハードルを下げて教えてくださり、あっという間に2時間半が過ぎました。

参加者の感想にも
「税金についてはさっぱり興味もなかったですが興味のあるものにはなりました。」
「講師の気さくなお人柄のおかげで、質問がしやすく、大変わかりやすい講座でした。色々な疑問が解決してすっきりしました。」
など、税金を身近に感じることのできる講座となりました。
(レポート わたなべ)

講義を行う大原さんです。
講師の方です
メモを取りながら話を聞く参加者です。
講座の様子です
税金の種類についてまとめられた表です。
図1税金の種類
法人区分による、課税所得の範囲についてまとめられた表です。
図2法人区分による、課税所得の範囲